溶連菌感染症
どんな病気?
溶連菌という細菌が原因で、38度以上の発熱やのどの痛みを主な症状とし、その他に頭痛や腹痛、吐き気、嘔吐などの症状を伴います。その反面、咳や鼻水、声のかすれ、結膜炎、下痢などは伴いません。特徴的な所見としては、舌が赤く腫れるイチゴ舌や首のリンパ節の痛みを伴う腫れや全身に発疹が出現する猩紅熱を呈すこともあります。
合併症としてリウマチ熱、急性糸球体腎炎、肺炎、髄膜炎、敗血症などを起こすことがあります。
どうやって治すの?
まずは抗原検査を行い溶連菌がいることを確認します。確認できたら、一般的にはペニシリン系の抗生物質を10日間内服して治療しますが、アレルギーがあって飲めない方は別の種類の抗生物質を処方していきます。
ご家庭での注意点!
再発を繰り返したり、続発症の原因となりますので、処方されたお薬は途中でやめずに全て飲み切るようにしてください。登校、登園に関しては、「抗菌薬治療開始後24時間を経て全身状態が良ければ、登校可能である」とされていますので、診察を受けた日と翌日はお休みください。熱が下がって、症状が改善していれば翌々日から登校可能です。
RSウイルス
どんな病気?
乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。一般的に秋から冬にかけて流行するウイルスですが、近年では季節外れの春にも流行が見られます。発熱や咳、鼻水が主な症状ですが、小さいお子様ほど重くなりやすい傾向があります。中耳炎を合併することも多いウイルスです。
1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%のお子様が1度は感染するとされており、乳児期に感染した場合、呼吸困難や喘鳴を伴う細気管支炎を起こすこともあり、症状が重い場合は入院が必要となります。幼児期以降も生涯にわたって何度も感染しますが、年齢と共に鼻風邪くらいの軽い症状で済むことが多くなります。
どうやって治すの?
治療は解熱剤や咳、鼻水を抑える薬を用いて対症療法的に治療を行います。耳鼻咽喉科でも検査は可能で、1歳未満の場合、重症化するリスクが高いため検査費用は保険適用となります。(1歳以上は保険適応ではありません)
ご家庭での注意点!
保育所などで施設内流行を生じやすく注意が必要です。特に乳児の場合、熱と咳が続くことで食事を取らなくなりグッタリしてくるので、脱水にならないよう多めに水分を与えるようにしてあげて下さい。
インフルエンザ
インフルエンザは毎年冬に流行する感染症で、毎年流行する型が変わるため、予防接種は毎年受けることが大切です。高熱や頭痛、関節痛、倦怠感などが主な症状ですが、ときに肺炎や脳炎などを合併することもあります。治療により数日程度で軽快することがほとんどですが、感染拡大を防ぐため熱が下がってから乳幼児の場合は3日、小学生以上の場合は2日は登園、登校を控えるように学校保健法で定められています。
検査をしてインフルエンザの診断となった場合、抗インフルエンザ薬を服用して治療します。当クリニックでは、インフルエンザの検査・治療に加えて、10月頃からインフルエンザ予防接種も行っております。
学校保健安全法により、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過してから」登園、登校してください。
手足口病
どんな病気?
手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスというウイルスが原因で、乳幼児を中心に夏季に流行する感染症です。
一般的な経過では、3〜5日の潜伏期をおいて、口腔粘膜、手のひらや足の裏などに2〜3mmの小さな水泡が現れ、舌、口唇、歯肉などの水泡は潰瘍化することもあります。水泡は肘、膝、お尻などにできることもあります。発熱は約3分の1に見られますが軽度で、38℃以下のことがほとんどですが、ごくまれに髄膜炎や脳炎などを生じることがあるので、高熱や嘔吐、頭痛などがある場合は注意が必要です。
どうやって治すの?
治療は安静と対症療法になります。口の中が痛いと食べなくなるので、脱水にならないようにしっかりと水分補給をしてあげてください。プリンやアイスクリームなど口あたりの良いものだけでも食べさせてあげると良いでしょう。
ご家庭での注意点!
手足口病はワクチンがなく、特別な治療法もないので、感染しないように心がけることが大切です。感染経路は飛沫感染、接触感染、患者の便を介しての感染と考えられているので、手洗い、感染者との密な接触、タオルの共用は避けましょう。特におむつ交換やトイレ後の手洗いはしっかり行ってください。
ヘルパンギーナ
どんな病気?
ヘルパンギーナは乳幼児の間で流行する夏かぜの一種で、コクサッキーウイルスA群というウイルスの感染により、突然の高熱で始まり、喉の奥に小さな水泡や潰瘍、発赤が出現します。
下痢、嘔吐を伴うこともありますが、たいていの場合2日~4日程度で回復する感染症です。口の中に小さい水疱ができるため、飲み物や食べ物を口に入れると痛がったり、嫌がったりすることもあります。
常温のお茶、牛乳、ゼリー、ヨーグルトなど、刺激の少ない柔らかいものを摂取するようにしてください。ごくまれに、意識障害や髄膜炎症状など重い症状になることもありますので、気になる症状や様子が見られた場合、早めに医療機関へ相談するようにしてください。
アデノウイルス感染症
どんな病気?
アデノウイルスはいくつもの血清型(50種類以上)を持ち、気道や結膜、腸管などで増殖するため下記のような様々な症状を起こしますが、最も多い症状は上気道炎です。
咽頭結膜炎(プール熱)
夏風邪の一つで、発熱、喉の痛み、結膜炎などの症状を呈し、プールでの接触やタオルの共用などで感染することがあるので、プール熱と呼ばれていましたが、近年ではタオルの供用などが減り、プールでの集団感染は減っています。
流行性結膜炎(はやり目)
目の充血や腫れ、目やに、涙に加え、耳前リンパ節の腫脹、疼痛を伴うことがあります。
非常に感染力が強いため、家庭内感染や施設内感染を起こしやすい病気です。
2週間程度で治癒しますが、完全に治るまでは登園・登校できませんので眼科医師の指示を仰ぐようにしてください。
アデノウイルス性腸炎
6歳以下の小児に多く、発熱、嘔吐、下痢が主な症状で、他のウイルスより下痢の期間が長いという特徴があります。
出血性膀胱炎
排尿時痛と血尿が主で発熱は認めず、通常は2〜3日程度で症状が改善していきます。
どうやって治すの?
ウイルス感染ですから抗生物質は効かないので、治療は解熱剤や咳、鼻水を抑える薬を用いて対症療法的に治療を行います。
ご家庭での注意点!
咽頭結膜炎(プール熱)は高熱が比較的長く(5日前後)ことがあるので、お薬を飲んで安静にし、熱が下がるまでは登園・登校はしないようお願いします。
おたふく風邪
どんな病気?
流行性耳下腺炎とも呼ばれ、ムンプスウイルスに感染することで発症します。
通常、片方の耳下腺の腫れと痛み、発熱で発症し、2〜3日後に反対側の耳下腺や顎下腺の腫れを伴い、1週間程度で回復していきます。診断は血液検査でムンプス抗体価を測定して行います。合併症として、高度難聴、髄膜炎、髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎がありますので、症状が重い場合は早めの受診が必要です。
また、小さいお子様はムンプス難聴(通常は片耳だけ)になっても周囲が異常に気付かず見逃されることがあり、学校検診などで発見されることもありますので、耳が聞こえているかどうかチェックすることも大事です。
どうやって治すの?
特別な治療法はなく、解熱鎮痛剤を服用して安静にして頂きます。
合併症を起こした場合は、その治療を行っていきます。
ご家庭での注意点!
登園・登校に関しては、「耳下腺・顎下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、全身状態が良好になるまで」とされています。
おたふく風邪は、重大な合併症を伴うこともあるため、ワクチン接種で発症のリスクを抑えたり、感染しても症状が軽くすむようにすることも大切です。